オートクチュール刺繍のブローチって、
「どうやって作っているんだろう?」と、思ったことはありませんか?
よく聞かれるのですが、いつも口頭で説明することが多く、
「ちゃんと伝わっているかな?」と感じることも少なくありません。
制作に集中してしまい、途中経過の写真もなかなか残せないのが正直なところです。
そこで今回は、
先日の『創波展』で特に人気だった「ポニーちゃん」のブローチを例に、
実際の制作工程と、完成までにかかる時間を少しだけご紹介してみたいと思います。
Step1 土台を選び刺繍枠に固定する

最初に、オートクチュール刺繍をするための「土台となる布」を選びます。
これは、完成したときの形や雰囲気を左右する大切なポイントです。
オートクチュール刺繍では、シルクオーガンジーという薄くて透ける布を使うことが多いです。
下が透けて見えるので、図案を写しやすく、ハリもあるため、初心者の方でも扱いやすい素材です。
Step2 土台に図案を写す

次に、選んだ布の上に図案を写していきます。
線がずれないように、ゆっくり丁寧に進めるのが大切です。
まっすぐな線が必要なところは、定規を使うこともあります。
実はこの工程、きれいな作品に仕上がるかどうかを左右する、とても大切なステップ。
ここを丁寧に行うことで、その後の刺繍作業もスムーズに進みます。
Step3 図案に沿って刺繍する

写した図案に沿って刺繍をしていきます。
ビーズやスパンコールなど、いろいろな素材を組み合わせながら、少しずつ形にしていく工程です。
このステップは、全体の中でもいちばん時間がかかる、大切な作業。
ひと針ずつ進めるたびに、少しずつモチーフが立体的になっていく、オートクチュール刺繍ならではの楽しさを感じられる時間でもあります。
Step4 刺繍した図案を切り抜き裏張りをする

刺繍がすべて終わったら、まわりに縁を残しながら、丁寧に切り抜きます。
そのあとに行うのが「裏張り」です。
これは、刺繍した部分が型崩れしないように、裏側から支えるための大切な工程。
作品を長くきれいに保つための、見えないけれど重要なひと手間です。
使う台布の種類によっては、裏張りが不要な場合もあります。
Step5 裏布を貼り仕上げる

まわりの縁をきれいに整えたあと、裏布を貼って、仕上げの準備に入ります。
裏布をモチーフの形に合わせてカットし、貼り合わせてま。
この工程で、アクセサリーの金具などを取り付けて、作品として形になります。
ここまでくると、「いよいよ完成!」というワクワク感が高まるステップです。
一方で、細心の注意を払う工程でもあります。
1点仕上げるのに、どれくらい時間がかかるの?
これらの工程の中で、もっとも時間がかかるのはStep3の刺繍作業です。
ここは、多くの方が想像される通りだと思います。
しかし、実は、それと同じくらい時間を要するのが、仕上げの工程であるStep4とStep5です。
たとえば今回のブローチの場合、1点の刺繍にかかる時間はおよそ3〜4時間。
そこからさらに、仕立ての工程だけで数時間かかることも珍しくありません。
しかも今回は、複数の図案をすべて刺繍してから切り抜く方法で制作しています。
そのため、
- 刺繍面をすべて仕上げるのに 12~16時間
- 切り抜きからアクセサリーに仕立てるまでに 約4〜5時間
この刺繍枠の場合、3~4つの作品が刺繍できるのます。
合計すると、完成までに16~20時間かかっている計算になります。
制作の中で特に神経を使うのは、Step2とStep5です。
もちろん刺繍そのもの(Step3)も大切な工程ですが、どれだけ丁寧に刺繍しても、図案写し(Step2)や仕上げ(Step5)が雑だと、作品は美しく完成しません。
オートクチュール刺繍の美しさは、実は「見えない工程」によって支えられているのです。
ブローチはオーダーできるの?
はい、完成品、カラーバリエーションなど、お好みに応じてオーダーいただけます。
ブローチなので、胸元や襟元に付けるのですが、バッグに付けてワンポイントにしたりすることも可能です。




